水底すいてい)” の例文
それよりも水底すいてい雑物ぞうもつの間に、何か舟の仲間への御土産になる様な品物が落ちていないかと、息の続く限り、泥の間を泳ぎ廻っていた。
猟奇の果 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
柳しだるる井のほとりに相対して黙然もくねんとして見るべからざる水底すいていうかがふ年少の男女、そも彼らはたがいの心と心に何をか語り何をか夢見んとするや。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
平家へいけもん運命うんめいも、いよいよきわまり、安徳天皇あんとくてんのうをいただいた二位尼にいのあま水底すいていふかくしずむだんになると、いままで水をうつたようにしんとしていた広間ひろまには
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
水底すいていのへやによういしてあった、爆薬に火をつけたのです。
宇宙怪人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)