気掛きがかり)” の例文
旧字:氣掛
さうしたら幾分腹せになるであらう。こんなことを考へて居るうちに、俺は段段悒欝いううつな気分になつて来た。何でもかでも気掛きがかりになる様な心持がしてならない。
公判 (新字旧仮名) / 平出修(著)
すこし遠慮して、勝手へ来て見れば、又たどうも気掛きがかりになって、御二人のことばかりが案じられました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「ホホホホ大変真面目まじめですね」と笑いながら、返事も待たず、入口へ引き返す。小野さんは気掛きがかりな顔をして障子のそばに上草履をそろえたまま廊下の突き当りをながめている。何が出てくるかと思う。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)