殺傷さっしょう)” の例文
お三根を殺傷さっしょうした凶器きょうきは、なんであるかわからないが、なかなかあじのいい刃物はものであるらしく、頸動脈はずばりと一気に切断されていた。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
東京の方を見ると、臙脂色えんじいろそらに煙が幾条いくすじも真直に上って居る。一番南のが、一昨日火薬が爆発ばくはつして二十余名を殺傷さっしょうした目黒の火薬庫の煙だ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
それを見ると、げまわっていた徳川家とくがわけの者たちが、またはえのようにあつまって神官しんかんを取りまき、忍剣をわたせ、殺傷さっしょう罪人ざいにんを徳川へわたせと喧騒けんそうした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ただ砲弾だけが正確に炸裂さくれつし人員を殺傷さっしょうした。部隊はたちまちにして大混乱を起した。花田軍医中尉はその中にいた。
日の果て (新字新仮名) / 梅崎春生(著)