旧字:正眞正銘
究極の・正真正銘しょうしんしょうめいの・神様だけがご存じの『なぜ?』を考えようとするのじゃ。そんなことを思うては生き物は生きていけぬものじゃ。
悟浄出世 (新字新仮名) / 中島敦(著)
よろず喧嘩買い入れ申し候、は実にふざけ切っているようで、これが決してふざけているのではない、正真正銘しょうしんしょうめい真面目まじめ稼業かぎょうなので——。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
あっしは正真正銘しょうしんしょうめいの大盗ッ、秦野屋九兵衛という兇状きょうじょう持ちには相違ございませんが、十七年の昔をさかのぼれば
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わしは正真正銘しょうしんしょうめいの松下庄兵衛です。わしがほんもので、あいつのほうがにせ者です。おわかりになりましたかな。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
それはどこにあぶなげのない、いかにもがッしりとした、正真正銘しょうしんしょうめい現実げんじつ世界せかいなのでございます。
包んである布の味といい、木箱の古びかげんといい、これこそ正真正銘しょうしんしょうめい、ほんもののこけ猿の茶壺ではないか!
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
おもわず足をみとどめて、ギョロッと両眼をふり向けたのは、蛮衣ばんいに十字の念珠ねんじゅくびにかけた怪人かいじん、まさしく、これぞ、正真正銘しょうしんしょうめい和田呂宋兵衛わだるそんべえその者だ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)