正己まさみ)” の例文
くめ、宗太、それから今度生まれた子には正己まさみという名がついて、吉左衛門夫婦ももはや三人の孫のおじいさん、おばあさんである。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
彼女はすでに五人の子の母であった。もっとも、五人のうち、男の子の方は長男の宗太に、妻籠の里方へ養子にやった次男の正己まさみ
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
妻籠本陣の寿平次じゅへいじをはじめ、その妻のお里、めっきり年とったおばあさん、半蔵のところから養子にもらわれて来ている幼い正己まさみ——皆、無事。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
寿平次の妻、お里も九歳になる養子の正己まさみ(半蔵の次男)を連れて、妻籠からその夕方に着いた。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「いゝえ、正己まさみは例幣使さまじゃありません。」とおまんが三番目の孫に言って見せる。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
宗太は、妻籠の正己まさみ(寿平次養子、半蔵の次男)および親戚しんせき旧知のものを保証人に立てて、父子別居についての一通の誓約書の草稿なるものを半蔵の前に持ち出した時のことであった。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
と半蔵がお民に言うころは、姉娘のおくめが弟の正己まさみを連れて、裏の稲荷いなりの方のくり拾いからもどって来た。正己はまだごく幼くて、妻籠本陣の方へ養子にもらわれて行くことも知らずにいる。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「そうかい。宗太は吾家うちへも寄って行った。正己まさみもね、あれからずっと朝鮮の方だが、おれの出した手紙を見たらあれも驚くだろう。二、三日前に、おれも半蔵さんの見舞いに行って来た。」
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
半蔵が男の子の宗太や正己まさみはおもしろがって、その間を泳いで歩いた。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)