止刀とどめ)” の例文
かれは、その瞬間かすかながら、対手あいてがすぐと次に、止刀とどめを刺しに近づくであろうという意識をもって待っていた。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と一声、もろくもそこに血煙りをあげてぶったおれた。刎ね起きた新九郎、何の猶予もなくブツリと止刀とどめを刺して
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あの折は、帰りの逃げ途も怖いし、武蔵にせよ、だいぶ狼狽しておったさ。何となれば、巌流に止刀とどめを刺すのを忘れて行ったのを見てもわかるではないか」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つづいて鉄砲を投げすてて、倒れた敵へ止刀とどめを刺しにゆく彼のすがたが跳ぶ鹿のように彼方かなたの坂に見えた。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ならば、止刀とどめを刺す機会があった。またことに右腕のつけ根をえらんだ狙撃もに落ちない。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「えい、いつまで手間を取っていやがる。どれ一つ止刀とどめを刺しに出かけようか」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おぬしと、姫とが、きれいに手のれたものなら、姫の侍女かしずきが来て水仕業みずしわざの世話まで焼くはずはねえ。そうして、てめえは世間を甘くごまかしているのだ。どうだ、恐れ入ったろうが」止刀とどめ
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
で今、弦之丞は止刀とどめを刺した後に、孫兵衛のその頭巾をさし伸べた。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
弦之丞はすぐに止刀とどめしてふたりへいった。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)