機会きつかけ)” の例文
旧字:機會
おまけに奈良茂ならもがそのあとから、「かうなるとわれおれとはかたき同志や。今が今でも命のやりとりしてこまそ」つて、笑つたと云ふんだから機会きつかけが悪い。
南瓜 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
何の機会きつかけからか、話は、信仰問題に落ちた。もつとも二人共に基督教キリストけうへ籍を置くゆゑ、自然そこへ行つたのだらう。
茗荷畠 (新字旧仮名) / 真山青果(著)
『橘さんは余りらん方ですね。』と云つた様な機会きつかけから、日下部君と志田君の間に酒の論が湧いて、寝酒の趣味は飲んでる時よりも、飲んで了つてからに有る
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
何かの機会きつかけがないと一寸くいもので、米国でも南北戦争以前までは、今の米国人のやうに、顔を綺麗に剃つたものだが、戦争後は顎髯を伸ばす事が流行はやつて
踊の済むのを機会きつかけに飯が出た。食ふ人も食はぬ人もあつたが、飯が済むと話がモウはずんで来ない。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
彼は智恵子をふと、初めは盛んに気焔を吐いた。現代の学者を糞味噌に罵倒し尽し、言葉を極めて美術家仲間の内幕などを攻撃した。そして甚麽話の機会きつかけからか、智恵子を口説いてみた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)