樋口ひぐち)” の例文
それから又樋口ひぐちさんといふ門構への医者を覚えてゐる。最後にこの樋口さんの近所にピストル強盗清水定吉しみづさだきちの住んでゐたことを覚えてゐる。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
信一郎が、フラ/\と立ち上るのを見ると、皆は彼がおおいに論じ始めるのかと思っていた。が、今彼の心には、樋口ひぐち一葉も尾崎紅葉もなかった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
大いにつうをきかしたつもりで樋口ひぐちを遊ばしたからおもしろい、鷹見君のいわゆる、あれが勝手にされてみたのだろうが、鸚鵡まで持ちこまれて
あの時分 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
見ると、レタペーパの上には、樋口ひぐちと読むのであろう、誰かの姓らしいものが、模様みたいにベッタリと並んでいた。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
家老の樋口ひぐち門左衛門がそれを伝え、隼人はお受けをした。そこには年寄役の林兵右衛門、中立庄太夫しょうだゆう、また中老の与田滝三郎らが列席してい、与田が隼人に質問した。
ちくしょう谷 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
ここは樋口ひぐちと云う所で、そこから道は二つに分れ、一方は川の岸を菜摘の里へ、一方はうたたねの橋を渡り、桜木の宮、喜佐谷きさだに村を経て、かみの千本からこけの清水、西行庵さいぎょうあんの方へ出られる。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「そうか、なるほど、あれには樋口ひぐち三郎兵衛が今もおったな」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
窪田くぼた君、窪田君、珍談があるよ」と声を低く、「きのうから出ていない樋口ひぐちが、どこからか鸚鵡おうむを持って来たが、君まだ見まい、早く見て来たまえ」
あの時分 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
そのうちに樋口ひぐち藤九郎という者がふと声をひそめながら
日本婦道記:墨丸 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
あの樋口ひぐち一葉です。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
ある日樋口ひぐちという同宿の青年ひとが、どこからか鸚鵡おうむを一羽、美しいかごに入れたまま持って帰りました。
あの時分 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)