)” の例文
「昨日こそ年はてしか春霞春日の山にはや立ちにけり」(巻十・一八四三)、「筑波根に雪かも降らる否をかもかなしき児ろがにぬほさるかも」(巻十四・三三五一)。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
三ツ岳から南、国境の大尾根は幾重の雲がからみ合い重り合って、遠い空のてに銅色を帯びた雲の峰が強い日光に照り映えている。然し黒部の谷には一点の雲もない。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
此尾根の上に押し建てられた一列の嶂屏と見えたのは、藍色の地に銀泥をなすり付けた大日岳の連嶺であった。谷の空は低く西に垂れて、富山平原のてに日本海が薄曇のした鏡のように光っている。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)