梯子口はしごぐち)” の例文
それに気をいらいらさせられたか、かれは寝床からはいだして、ふたたび梯子口はしごぐちからコマねずみのようにそッと顔をだした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そつと梯子口はしごぐちまで来て見ると、下ぢやまだ奉公人たちが、皆起きてゐると見えて、何やら話し声も聞えてゐる。
鼠小僧次郎吉 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
土間のもの音を聞くと、待ちかねていたように、二階の梯子口はしごぐちから、老先生の白い髯がのぞきおろした。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
螺旋状らせんじょう梯子口はしごぐちから二そうへかけ上がり、それより上は階段かいだんがはずされてあるので、鈎縄かぎなわ、あるいは数珠梯子じゅずばしごなどを投げかけ、われ一ばんりとよじのぼっていった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
このおそろしい部屋へじぶんをあんないしたからには鼻かけ卜斎ぼくさい八風斎はっぷうさいは、すでに徳川家の伊賀衆いがしゅう菊池半助ということを見破ったにそういない——と半助は、こころみに梯子口はしごぐちをのぞいてみると
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「煙い煙い。窓を開けい。梯子口はしごぐちも開け放しでよい」
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)