格好がっこう)” の例文
小屋の中には、破れ畳を一枚、じかに地面へ敷いた上に、四十格好がっこうの小柄な女が、石をまくらにして、横になっている。
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
しばらくして窓の戸があいて、そこへ四十格好がっこうの男の顔がのぞいた。「やかましい。なんだ。」
最後の一句 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
老師というのは五十格好がっこうに見えた。赭黒あかぐろ光沢つやのある顔をしていた。その皮膚も筋肉もことごとくしまって、どこにもおこたりのないところが、銅像のもたらす印象を、宗助の胸に彫りつけた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この時もそれが遠くから、だんだんこちらへ近づいて来ると、出窓に面した廊下には、四十格好がっこうの女中が一人、紅茶の道具を運びながら、影画かげえのように通りかかった。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)