柵矢来さくやらい)” の例文
お馬場口から曲って来ると崖のふち柵矢来さくやらいが有りまして、此方こちらは幡随院の崖になって居りまして、此方に細流ながれがあります。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
その陣屋には新たに百二十間あまりの柵矢来さくやらいが造りつけられ、非常時の合図として村々には半鐘、太鼓、板木が用意され、それに鉄砲、竹鎗たけやりそでがらみ、六尺棒、松明たいまつなぞを備え置くという。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
小三郎は左様な事とは知らず、杖にすがって土橋を渡り、仲木場の方の曲り角の柵矢来さくやらいの処まで来ますると、ドブリ/″\と浪除杭なみよけぐいへ打ち附ける潮の音が聞えまする。
春部の彼奴あいつが若江という小姓と不義いたずらをして逃げたんで、其の逃げる時にお馬場口から柵矢来さくやらいの隙間の巾の広い処から、身体を横にしてわたくしが出ようと思います途端に出会でっくわして、実にどうも困りました
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)