枝垂柳しだれやなぎ)” の例文
涙に暮れる枝垂柳しだれやなぎよ、棄てられた女の亂髮みだれがみ、心と世とを隔てる幕、おまへのうれひのやうに輕い花を織り合せた縮緬ちりめん
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
枝垂柳しだれやなぎもほんのり青みが見えるようになった。彼岸桜ひがんざくらの咲くとか咲かぬという事が話の問題になる頃は、都でも田舎いなかでも、人の心の最も浮き立つ季節である。
春の潮 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
空には奥ゆかしい廂の上に枝垂柳しだれやなぎが垂れている。こうしたのが露人の百姓家だと思うと、この頃の新開地の日本家屋の醜さがつくづく不快でたまらなくなる。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
枝垂柳しだれやなぎのごとく花開いた、つづいて反対の方角から打ち揚げられたは真っ赤な真っ赤な硝子玉びいどろだまで、枝珊瑚珠のいろに散らばる、やがて黄色い虹に似たのが、また紅い星が、碧い玉が。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
枝垂柳しだれやなぎ
野口雨情民謡叢書 第一篇 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
涙に暮れる枝垂柳しだれやなぎよ、おまへの髮をきあげて、そら御覽よ、あすこを通る人を、あかつきをかに立つ人を
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
分流は時に細い早瀬となり、蘆荻ろてきに添い、また長い長い木津きづつつみの並木について走る。堤には風になびく枝垂柳しだれやなぎも見える。純朴な古風の純日本の駅亭もある。そうして昔作むかしづくりの農家。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
水面のまた閑かな投影、枝垂柳しだれやなぎの深さ。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
枝垂柳しだれやなぎのしげみを
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)