朱子しゅし)” の例文
朱子しゅしちゅうって論語を講釈するのを聞いたより外、なんの智識もないのだが、頭の好い人なので、これを読んだ後に内々ないない自らかえりみて見た。
かのように (新字新仮名) / 森鴎外(著)
元々、東洋の法は、じんを本とし、苛烈な罰が目あてではござらぬ。なお、朱子しゅしことばにもある。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
朱子しゅし曰く、「人鬼の気はすなわち消散して余りなし。その消散もまた久速の異あり。人、その死に伏せざる者あり。すでに死せるも、この気散ぜずして、妖をなし怪をなすゆえんなり」と)
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
「知らぬか、廷尉。——大義タイギシンメツス、とあるのを。異朝いちょうでもそれが新しい朱子しゅしの学として奉じられておる。遠い魏朝ぎちょうにあった故事ふるごとなどは早やカビ臭いわ。……いや、坊門どの」
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
朱子しゅし学派の一儒者じゅしゃだったが、あるとき聖堂の石段で、いきなりワンと噛みついてきた赤犬を、意識的にか、思わずか、蹴とばしたので、家に帰るやいな、捕手とりてを迎えぬうちに、切腹してしまった。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)