“有心(うしん)” の例文
それは、幽玄とか有心(うしん)とか云って、深みを要求していながら、歌人の心の全体が常識的に分化してしまったからである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
あるいは阿多福(おたふく)が思をこらして容(かたち)を装(よそお)うたるに、有心(うしん)の鏡はその装(よそおい)を写さずして、旧(もと)の醜容を反射することあらば、阿多福もまた不平ならざるをえず。
学者安心論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
これを聞いた三宅氏は胸をうって三嘆し、今にして無心の有心(うしん)に勝るの神髄を知り得たり、といって喜ぶ。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
長高(ちょうこう)・見様(けんよう)・面白(おもしろ)・有一節(ひとふしある)・濃様(のうよう)・鬼拉(きらつ)・幽玄(ゆうげん)・事可然様(ことしかるべきよう)・麗様(れいよう)・有心(うしん)としたが、その中で、幽玄・麗様・濃様・長高などにあたる歌をお好みになったらしいので
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
定家とすれば俊成の幽玄から更に自個の立場を明らかにしようとして有心(うしん)を説く。芸術の分野で絶えず完成されぬ旅をつづけていたということになる。そうだろう。
その一方を有心(うしん)の座(ざ)というに対して、是をまた無心の座とも申したそうである。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
有心(うしん)の調さへしづみゆけば
感謝 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)