暁方あかつきがた)” の例文
旧字:曉方
顔を洗ふべく、静かに井戸にちかづいた自分は、敢てかしましき吊車の音に、この暁方あかつきがたの神々しい静寂しづけさを破る必要がなかつた。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
そのもあらず一同を載せた屋根船は殊更に流れの強い河口のうしおに送られて、夕靄ゆうもやうちよこたわ永代橋えいたいばしくぐるが早いか、三股みつまた高尾稲荷たかおいなりの鳥居を彼方かなたに見捨て、暁方あかつきがたの雲の帯なくかなかずの時鳥ほととぎす
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)