昨今さっこん)” の例文
昨今さっこん腹が減っていると見え、いつの間にか机の上のすしを見つけ、紙包の横を食い破ると、中のすしを盗んで食っているのです。
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
傍で寝ている酒気を帯びた父のいびきのどにからまって苦しそうだ。父は中年で一たん治まった喘息ぜんそくが、またこの頃きざして来た。昨今さっこんの気候の変調が今夜は特別苦しそうだ。
渾沌未分 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
たちも好かったのだろう。十数年本格的に鍛えているから、普通のモー/\連中とは違う。昨今さっこんは同僚の有志を指導している。決して出教授できょうじゅをしないという見識の高い先生だ。
妻の秘密筥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
と銀の字、如才じょさいない。昨今さっこん少し野心が頭をもたげて来た。師匠夫婦の覚えが芽出度いにつれて、美代子さんが目につく。内弟子は自分一人だ。師匠の名跡みょうせきを継げば、美代子さんが貰える。
心のアンテナ (新字新仮名) / 佐々木邦(著)