春日野かすがの)” の例文
歴史的れきしてきにいろ/\な記念きねんのあるこの春日野かすがので、自分じぶん若菜わかなんでゐると、むかしひとも、かうして若菜わかなんでゐたのだから、うっかりすると
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
彼のまことの母の春日野かすがのは、弟が引き取られると同時に行方が分らず、津の国で見た者がいるともいい、大和やまと宮司ぐうじの家で見た者もいるといい、まちまちな噂であった。
野に臥す者 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
ちょうど、春日野かすがのの鹿のように、ある者は立ち、ある者は坐り、ある者はぶらぶら歩いている。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この春も春日野かすがの馬酔木あしびの花ざかりをみて美しいものだとおもったが、それから二三日後、室生川むろうがわの崖のうえにそれと同じ花が真っ白にさきみだれているのをおやと思って見上げて
大和路・信濃路 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
一、大滝壱岐守殿おん壺、春日野かすがのめいあり。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
春日野かすがの若菜わかなめば、われながら むかしひとのこゝちこそすれ
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)