明色めいしよく)” の例文
明色めいしよくの髪の毛には、菫の輪飾が戴かせてある。耳朶みゝたぶにはアウリカルクムの輪が嵌めてある。きらめく宝石の鎖が胸の上に垂れてゐる。
クサンチス (新字旧仮名) / アルベール・サマン(著)
吃水面際の赤いいろどり、薄くたなびいた煙り、またはこれ等一切を取りまく、春光はるびのもとの明色めいしよくの濃い海の青を、三十何年來幻のやうに思ひ泛べられる。
地方主義篇:(散文詩) (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
学士はカナリア鳥をちよいと見て、ニノチユカの少し濃い明色めいしよくの髪を撫でて、かう云つて揶揄からかつた。
板ばさみ (新字旧仮名) / オイゲン・チリコフ(著)
娘は明色めいしよくな髪をした、非常に色の蒼い、太つた子で、骨組は小柄で背が低い。顔は物に驚いたやうな、子供らしい顔である。女に特有な体の部分々々が盛に発育してゐる。
オンファロオド、人をとろか明色めいしよくの眼をした臍形ほぞがたの花、影を無言むごんに映して見せる奧深い鏡。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
葡萄の実り豊かに、海原の波の打ち寄せる、クリツサのいちに生れた、明色めいしよくの髪に菫の花の花飾をした踊子クサンチスは、こんな死にをしたのである。
クサンチス (新字旧仮名) / アルベール・サマン(著)
明色めいしよくな太平洋の海を椿の樹々きぎのあひだから眺めた。
地方主義篇:(散文詩) (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)