早合点はやがってん)” の例文
旧字:早合點
そこで、父親は、これはてっきり、彼が茶屋酒ちゃやざけでも飲み覚えて、店の金を使い込みでもしたのだろうと早合点はやがってんをして了ったのである。
夢遊病者の死 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
早合点はやがってんをしてしまった。お蔭で私は教室の受けが好かった。初めから上級を持つといじめられるそうだが、そんなことは一切なかった。或日、五年級の生徒が一名
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「……あったかい!……」を機会きっかけに、行火あんかの箱火鉢の蒲団ふとんの下へ、潜込もぐりこましたと早合点はやがってんの膝小僧が、すぽりと気が抜けて、二ツ、ちょこなんと揃って、ともしびに照れたからである。
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「はっはっはっはっ。世間には、どうもまぎれやすいはなしがあるものですな。両脚のない人間も世間には何百人といるんですぞ。団体葬儀だなんて、それは誰かの早合点はやがってんでありましょう」
火薬船 (新字新仮名) / 海野十三(著)
はあ、うか、いや知らぬ、愚僧早走はやばしり、早合点はやがってんの癖で、用だけ聞いて、して来いな、とお先ばしりに飛出とびでたばかりで、一向いっこうに仔細は知らぬ。が、さては、根ざすところがあるのであつたか。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
(はあ、おはなの……)なんてな、此家ここ姉御あねご早合点はやがってんで……
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)