旧時むかし)” の例文
松倉まつくら旧時むかしの属官ばかりがならんで居るだろう、罪人の方が余程エライ、オイ貴様はドウして居るのだと云うような調子で、私は側から見て可笑おかしかった。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
この縁故の深い、旧時むかし恋しい人の前に、三吉は考え沈んで、頭脳あたまの痛くなるような電車の響を聞いていた。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
あの寒い橋のたもとでこれを売って其の日を送るまでさ、旧時むかしは少々たりともろくんだものが、時節とは云いながら、残念に心得て居ります、処へ君にめぐり逢っておおきに力を得た