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日輪巻
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にちりんまき
ことに
山県蔦之助は、
弓術は自分の
畑のものであるし、じしん
得意とする
代々木流も、
久しく、
日輪巻の
弓へ
矢つがえをして、
腕のスジを思うさまのばしたことがないから
今為朝といわれたのはどんな人物かと見ると、
丈たかく、色浅ぐろい二十四、五
歳の
武士である。黒い
紋服の
片肌をぬぎ、手には、
日輪巻の
強弓と、一本の矢をさかしまに
握っていた。
山県蔦之助が
日輪巻の
弓から切ってはなした
白鷹の
塗矢にちがいはないのである。