日詰ひづめ)” の例文
私の生れは、岩手県といっても、県庁のある盛岡市から、汽車で五つ目の日詰ひづめで下りて、それからさらに一里半の北上きたかみ川の対岸である。
胡堂百話 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
丁度お前達の方のご維新いしん前ね、日詰ひづめの近くに源五沼という沼があったんだ。そのすぐとなりの草はらで、僕等は五人でサイクルホールをやった。
風野又三郎 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
一戸いちのへや福岡あたりの荒物屋を訪うと、面白い方言で色々とこれらの竹細工を扱うのを見るであろう。八戸はちのへあたりにも販路が広がり盛岡や日詰ひづめの町々にも出る。
陸中雑記 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
漆器で忘れ難いのは盛岡や日詰ひづめの荒物屋で売る「菓子櫃かしびつ」であります。横巾一尺五寸近くの楕円のひつでありますが、そのふたの上に大まかに色漆いろうるしで牡丹の模様を描きます。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
これは二、三年前から話があったが、私は断りつづけに断っている。岩手県日詰ひづめが私の故郷であるが、ここでも塚を建てたいといっている。しかし私はこれも承知しない。
平次と生きた二十七年 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)