旗揚はたあ)” の例文
信玄しんげんの孫、伊那丸いなまるとやらが、ふたたび、甲斐源氏かいげんじ旗揚はたあげをいたすきざしが見えると、せっかく、かれからもうしてまいったのに、そのままにいたしておいても、大事はござりますまいか」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今にもひる小島こじまの頼朝にても、筑波つくばおろしに旗揚はたあげんには、源氏譜代の恩顧の士は言はずもあれ、いやしくも志を當代に得ず、怨みを平家へいけふくめる者、響の如く應じて關八州は日ならず平家のものに非ざらん。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)