旃陀羅せんだら)” の例文
彼は自身漁家の出として、旃陀羅せんだらすなわちエタの子であると呼号して、法を説いたくらいであるから、もとより殺生者を疎外しない。
賤民概説 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
秀吉のように、家康のように、武力を持っているわけでもなんでもなく、前に申す通り旃陀羅せんだらの子ですからな、ほんとうに素裸すっぱだかです。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
陰陽道は歴緯にのっとり神鬼を駆ると称して、世俗の為に吉を致し凶をはらうものである。儒より云えば巫覡ふげきの道、仏より云えば旃陀羅せんだらの術である。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「日蓮は日本国東夷東条安房国海辺旃陀羅せんだらが子也」と彼は書いている。
生馬の命かしこみ旃陀羅せんだらが火をけむとす空の高きに
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
前に引いた如く、かの日蓮聖人は房州小湊の漁師の子であったというので、自ら「旃陀羅せんだらの子」すなわち「エタの子」であると云っている。
賤民概説 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
「日蓮は日本国東夷東条、安房の国海辺の旃陀羅せんだらが子なり。いたづらにちん身を法華経の御故おんゆゑに捨てまゐらせん事、あに石をこがねにかふるにあらずや」
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
日は暮れぬ鰯なほ干す旃陀羅せんだらが暗き垣根の白菊の花
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
エタとは本来屠者、すなわち獣類屠殺業者のことで、天竺の言葉では、これを旃陀羅せんだらといいます。
まだ世間に流布るふされていない秘本をずいぶん持っていましたからね……『日蓮ハ日本国東夷東条安房ノ国海辺ノ旃陀羅せんだらガ子ナリ!』これは佐渡御勘気鈔さどごかんきしょうという本のうちにあるのです。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
生皮なまかわあさ旃陀羅せんだらにぶの色
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
かの日蓮聖人が、自ら「旃陀羅せんだらの子なり」と云い、「身は人身にして畜身なり」とも、「畜生の身なり」とも云われたのは全くこれである。しかしもともと非人とは、決してそういう意味ではない。
賤民概説 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)