敷台しきだい)” の例文
旧字:敷臺
老人はフガフガと鼻へ抜ける、不明瞭な声で、ぶっきら棒にいって、敷台しきだいを上った。ひどく足が悪いらしく廊下の上でも、ステッキを離さない。
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
剣士一統、矢鱈やたらに柄を叩いて敷台しきだいから前庭まえの植込み、各室へ通ずる板廊いたろうのあたりをガヤガヤ押し廻っていると
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
所が狭い家だから大勢すわる処もないような次第で、その時は恐ろしい暑い時節で、坐敷から玄関から台所まで一杯人が詰て、私は夜半玄関の敷台しきだいの処に腰を掛けて居たら
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
相「これ/\婆アや、支度は出来たかえ、御膳を上げたか、湯気は立ったかえ、善藏に板橋まで送らせてる積りだから、荷物は玄関の敷台しきだいまで出して置きな、孝助殿御膳をあがれ」
玄関の敷台しきだいに迎えた使用人の数も嘘の様に減ってはいたが、そんな事よりも、部屋、部屋の荒れかたがひどかった。壁の落ちた処、畳のり切れた処、唐紙からかみの破れなぞ、眼にあまるものがあった。
(新字新仮名) / 富田常雄(著)
敷台しきだいに立ちはだかって戸外おもて呶鳴どなった玄蕃、三ッ引の紋を置いた黒羽二重はぶたえを着流し、茶博多ちゃはかたを下目に結んで、大柄な赭黒あかぐろい顔と言い、身体がたっぷりしてるから、なかなかどうして
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)