放抛うっちゃ)” の例文
「これで正体がほぼわかった! もう心配をする必要はない。黙って放抛うっちゃっておくんだね。そのうちに僕が悪戯者いたずらものの沙漠の霊を捉らまえてやる」
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それでも四五日何事もなく経過すると、やっと解放されたような気がしてほっと安心します。こんな状態ようですから、先生、どうも放抛うっちゃっておけないんです。
誰? (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
「ここまでぎつけて、今一ト息と云うところで、あの財産を放抛うっちゃって出るなんて、そんな奴があるものか」
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
しかし礼を厚うしてほとんど十回も招かれて見れば放抛うっちゃって置くことも出来なかったので時々見舞ってやっていた。しかしもちろん急抱えの剣術使いや浪人とは違う。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「うんと働いておくれ。今にお金ができると、お前さんたちだって、私が放抛うっちゃっておきやしないよ」
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
わしの顔にもかかるし、家名にもきずがつくというものだ。どのみち放抛うっちゃっておける問題ではないから何とか方法を考えにゃならんが——そうだ、わしに一つ考えがある。
犬舎 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
余り嬉しくない証文ではあるが、総領の一人子であって見れば放抛うっちゃっておくことも出来なかった。
大鵬のゆくえ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
手前のしつけがわりいから、あんな我儘わがままを言うんだ。この先もあることだから放抛うっちゃっておけと、宅ではそう言って怒っているんですけれど、私もかかりにしようと思えばこそ、今日まで面倒を
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
私をいくさに行かせておくれ。父母の仇敵は袁世凱だ。あいつを生かしては置かれない。あいつは民国の仇なのだ! あいつをこのまま放抛うっちゃって置いたらきっと皇帝になるだろう。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
欝した心を欝しさせたままいつまでも放抛うっちゃって置く時は、おおかたの人は狂暴となる。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)