まぎ)” の例文
「ええ、あの方は、私にいい加減な嘘を並べ立てました。だって、あの亡霊は、まぎれもない父だったのですから」
オフェリヤ殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
それは、藻か襤褸ぼろかわからぬようなものを身につけていて、見ればまぎれもなく人間の男だ。胸に大きな拳形のあざがあって、ほかは、吾々と寸分の違いもない。
人外魔境:05 水棲人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
実に、その消え行く瞬間の光は、斜めにかしいで仮髪かつらの隙から現われた、白い布の上に落ちたのである。それはまぎれもなく、武具室の惨劇を未だに止めている額の繃帯ではないか。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)