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擘
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つんざ
ふりがな文庫
“
擘
(
つんざ
)” の例文
けれどもその声が止むか止まぬに、もうひとつ別の、松永博士の、鋭い
擘
(
つんざ
)
くような叫び声が、激しい跫音と共に、闇の中を転ろげるように戸口のほうへつッ走った。
三狂人
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
カムポ・ピチェンに戰起りて、この者たちまち霧を
擘
(
つんざ
)
き、
白黨
(
ビアンキ
)
悉くこれに打たれん 一四八—一五〇
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
ちょうどこの時、さっき死んだ船長の金を数えていた母と私とを狼狽させたと同じ呼子の音が、もう一度夜気を
擘
(
つんざ
)
いてはっきりと聞えたが、この時は二回繰返して鳴った。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
私は再び
眠
(
ね
)
に就いたが、表の
怪立
(
けた
)
たましい物音に間もなく驚かされた。
破
(
わ
)
れるやうに戸が叩かれて女の悲鳴が耳を
擘
(
つんざ
)
かんばかりに響いた。母も祖母も飛び起きて
上
(
あが
)
り
框
(
がまち
)
へ出て
避病院
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
さて、弥勒世尊無量の人と
耆闍崛山
(
ぎしゃくつせん
)
頂に登り、手ずから山峯を
擘
(
つんざ
)
く。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
▼ もっと見る
「アア、ユウ、ウッド?」という極めて鋭い漱石氏の発音が私の耳を
擘
(
つんざ
)
くように聞こえた。それと同時に私はあっ気に取られた顔をして無言のまま漱石氏を見下しているその西洋人の顔を見出した。
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
といふと閻魔は耳を
擘
(
つんざ
)
くやうな声で
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
わが耳を
擘
(
つんざ
)
くこと多し、かく語りて口を歪めあたかも鼻を
舐
(
ねぶ
)
る牡牛の如くその舌を吐けり —七五
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
我等進みてたゞふたりとなりしとき、空を
擘
(
つんざ
)
く
電光
(
いなづま
)
のごとき聲前より來り 一三〇—一三二
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
擘
漢検1級
部首:⼿
17画
“擘”を含む語句
巨擘
雷擘裂