つまみ)” の例文
それをあの子は知らなんだ。昼間も大抵一人でいた。盆栽の花に水を遣ったり、布団のちりはらったり、扉のつまみ真鍮しんちゅうを磨いたりする内に、つい日はってしもうた。
まいへもうしろへも廻る重宝ちょうほうな屏風で、反古張ほごばり行灯あんどんそば火鉢ひばちを置き、土の五徳ごとくふた後家ごけになってつまみの取れている土瓶どびんをかけ、番茶だか湯だかぐら/\煮立って居りまして
電灯のつまみひねれば、その途端に光が現われ、またこれを捻れば、その途端に光が消えて、光っていた時の始め終りには確乎たる境界があるごとくに感ずるが、これもよく考えてみると、境界はない。
境界なき差別 (新字新仮名) / 丘浅次郎(著)