掻合かきあは)” の例文
車夫のかく答へし後はことば絶えて、車は驀直ましぐらに走れり、紳士は二重外套にじゆうがいとうそでひし掻合かきあはせて、かはうそ衿皮えりかはの内に耳より深くおもてうづめたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「文ちやんは厭——姉さんの懐へ手などを入れて。」とお節は叱つて見せて、着物のえり掻合かきあはせた。「ほんとに、文ちやんは子供のやうぢや無い。」
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)