すく)” の例文
紅蓮ぐれんの魚の仏手にすくい出されて無熱池に放されたるように我身ながら快よく思われて
良夜 (新字新仮名) / 饗庭篁村(著)
その上にはピカピカ光る形ちが指で魚の燐光の中にすくい上げたように描かれてあった。
彼は半死半生のお葉を抱えおこして、霎時しばしは飽かずにその顔を眺めていたが、やがてかたえの谷間の清水をすくい取って、女の口にそそぎ入れた。死んだ方がいっましのお葉は、不幸にも又蘇生いきかえったのである。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)