拘留こうりゅう)” の例文
わたしたち二人だけになると、わたしはマチアに、ほとんど自分たちが拘留こうりゅうされていることをわすれさせるほどのえらい報告ほうこくをした。
拘留こうりゅうされた二人を犯人と判断しべき直接証拠は何も出ないばかりか、二人が巣鴨へ来る以前の行動も少しもわからなかった。
呪われの家 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
或はその儘拘留こうりゅうになってしまったのではなかろうかと奥さんの目の為めにいささか不安を感じ始めた頃、元気好く帰って来て
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
それでとうとう一晩拘留こうりゅうさせられたのよ。痛快じゃないこと、ところが泣きっ面に蜂というのは爺さんが警察に宿とまっている晩に、無電小僧に入られたのよ。
ニッケルの文鎮 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
和歌山城下まで、現在つれて来ておりながら、尚拘留こうりゅうするということは、大納言様のご機嫌を
猫の蚤とり武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
町では覚平かくへいが助役をなぐって拘留こうりゅうされたといううわさが一円に拡がった
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
一橋立儲君派らを拘留こうりゅうせしめ、以て安政大獄の端をひらけり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
わたしはなんという親切な人だろうと思ったけれど、巡査じゅんさはあくまでわたしたちを拘留こうりゅうしなけばならないと言った。
それを聞いてもいっこうはっきりしないことであったから、とにかくかれは雌牛めうしあずかること、それがわたしたちのものだというあかしの立つまで、わたしたちを拘留こうりゅうすることに決めた。