拉致らっち)” の例文
「何者だっ、どこの船かっ」と、一隊の兵にすぐ発見され、すぐ船を出た七名の代表者は、そのまま彼らの屯営とんえい拉致らっちされて行った。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
出師すいしの不在中孔明を誹謗ひぼうしたり、根もない流説を触れまわったりしていた悪質の者数人は前から分っていたのですぐ拉致らっちされて来た。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
馬騰の拉致らっちされたあと、大勢の密軍兵は、捕吏とともに、馬騰の邸を四面から焼きたてて、内から逃げ転び悲しみまどい、阿鼻叫喚あびきょうかんをあげて、溢れ出て来る家臣、老幼
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「拙者も、柳営りゅうえいの御書院番、富武五百之進です! 武士でござる! 娘が不浄役人に縄打たれて、屋敷から拉致らっちされたとあっては、どの顔を下げて、公儀のご奉公がなりましょうや」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もう一人の頭陀、これは気絶していただけなので、すぐ息を吹っ返し、裸のまま拉致らっちされた。頭陀は報恩寺の納所なっしょ胡道人こどうじんというやつ。彼の白状で事はあらまし奉行所の調書にのぼった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
有無をいわせず張松をからめ捕り、家人召使い、一人のこらず拉致らっちして行った。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
といっても、あのやかましい秀吉から、その捕縛ほばくをいいつけられている呂宋兵衛は、なんとしても、勝頼を秀吉の面前へ拉致らっちしていかなければ、たちまち、かれの信用が失墜しっついすることになる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
陳大夫父子は、その場から拉致らっちされて行った。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)