抵抗てむか)” の例文
しかし、それでも馬鹿たちは抵抗てむかわないで、ただ泣くだけでした。おじいさんが泣き、おばあさんが泣き、若い者たちも泣くのでした。
イワンの馬鹿 (新字新仮名) / レオ・トルストイ(著)
不意ではあり何のことだか夢のような心持で、抵抗てむかいもせずいてゆくと、その男は私を蕗子の家の表口から連れこみました。
流転 (新字新仮名) / 山下利三郎(著)
抜けつくぐりつ、こやの軽いのにゃ飽倦あぐねッちゃって、二人とも大汗になって、トド打掴ふんづかまえ、掛けたのを外しにかかると、俯向あおむけに倒れながら、まだ抵抗てむかう気だ。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
弥八 (得物を投じ、長脇差へ手をかける)抵抗てむかいすると、くびを、叩き落すぞ。
一本刀土俵入 二幕五場 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
若い彈力性のある心が、善惡は兎あれ、是れに抵抗てむかはずに居られようか。
半日 (旧字旧仮名) / 有島武郎(著)
「よく何事もなかったものだ。このお方が本気になって抵抗てむかったら、其方どもが十人、二十人、かかっても、濠の水を呑んだろうに。——さてさて無事であったは、まことにご堪忍のお情け、かたじけない」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「だって、あれ、あれ、助けてくれ、と云うものを。鬼神に横道なし、と云う、なさけ抵抗てむかやいばはないはず、」
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「——観念した。もう抵抗てむかいはいたさん。縛れッ」
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)