折敷おりし)” の例文
鳥居の台石へ腰をかけた竜之助、たいを横にして、やや折敷おりしきの形にすると、鳥居わきを流れて石畳の上へのめって起き上れなかった男。
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
はれやかに成つて、差寄さしよせる盆に折敷おりしいた白紙しらかみの上に乗つたのは、たとへば親指のさきばかり、名も知れぬ鳥の卵かと思ふもの……
貴婦人 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
組頭くみがしらの声に、松平方の鉄砲もみな折敷おりしいた。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こう言いながら竜之助は、片手で持っていた槍を、両手で持って折敷おりしきのような形に身体からだを立て直すと、その槍の穂先が擬いの神尾主膳の咽喉元へピタリ。
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
さそくに友染ゆうぜんの膝を乱して、つくろいもなくはらりと折敷おりしき、片手が踏み抜いた下駄げた一ツ前壺まえつぼを押して寄越よこすと、たすけ起すつもりであろう、片手が薄色の手巾ハンケチごと、ひらめいてぷんかおって
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)