手触てざわり)” の例文
旧字:手觸
彼の上着には腰のあたりにボタンが二つ並んでいて、胸はいたままであった。霜降の羅紗ラシャも硬くごわごわして、極めて手触てざわりあらかった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ドアの敷居に姿を現した彼女は、風呂から上りたてと見えて、蒼味あおみした常の頬に、心持の好いほど、薄赤い血を引き寄せて、肌理きめの細かい皮膚に手触てざわりいどむような柔らかさを見せていた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)