ドアー)” の例文
私は駅名喚呼をしなければならぬ、「目黒目黒」と二声ばかりドアーを開けながら呼んで見たが、どうも羞かしいような気がして咽喉がつまった。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
妻に聞くと子供の部屋だろうというので、縁伝いにドアーを開けると、彼は咲子の机の前にすわって、女の雑誌の口絵に出ている、ある美人の写真を眺めていた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私は恐ろしい肉の叫喚さけびをまのあたり聴いた。見ると三等室のドアーが開いて、高谷千代子が悠々ゆうゆうとプラットホームに降りた。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
これまでにもう幾たびも処女をもてあそんだことがあるという、そう言えばこの間も停車場ステーションでわざわざ千代子のドアーを開けてやったところなど恥かしげもなく
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)