懐姙かいにん)” の例文
旧字:懷姙
もしその前に懐姙かいにんするならば、巫女により堕胎が行われ、そして夫が四十歳になるまで妻は引続き父の家で暮し、ただ密かに会うだけである3
そういうと、きっと誰方どなたでもこの余り意外な出来ごとのために、目を丸くなさることだろうと思うが、妾の懐姙かいにんは最早疑う余地のない厳然げんぜんたる事実なのである。
三人の双生児 (新字新仮名) / 海野十三(著)
こらしめのため、里へかえそうかなどと考えているうちに、あいにくと懐姙かいにんで、しかも、きょうこの大晦日のいそがしい中に、産気づいて、早朝から家中が上を下への大混雑。
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
かめが懐姙かいにんを致しました故でございます、只今では七歳になり、名をおえいと申します
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
蝋燭の香のなかに、さっきから打ちかさねて、ものの様子が、思わぬかくし事に懐姙かいにんしたか、また産後か、おせい、といううつくしい女一人、はかなくなったか、煩ろうて死のうとするか
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)