こが)” の例文
そんないやしい素性の者なら、たとえ英吉がその為に、こがじにをしようとも、己たち両親が承知をせん。家名に係わる、と云ったろう。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼の最もよいと云われるところは我輩から見れば毫釐ごうりの差が天地の距りとなっている、彼が最後まで机竜之助を演りたい演りたいということにこがれて憧れ死にをしたような心中は
生前身後の事 (新字新仮名) / 中里介山(著)
が、尾生の魂は、寂しい天心の月の光に、思いこがれたせいかも知れない。
尾生の信 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
さあ、たとえ俺が無理でも構わん、無情でも差支えん、おんなが怨んでも、泣いても可い。こがじにに死んでも可い。先生の命令いいつけだ、切れっちまえ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いや、結構ですとも。恋で死ぬ、本望です。この太平の世に生れて、戦場で討死うちじにをする機会がなけりゃ、おなじ畳の上で死ぬものを、こがれじにが洒落しゃれています。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
こがれなさるもの、ちょっと一目お目にかかって、お聞かせもおしとうござんすけれど、今顔をお見せ申しますと、お慕いなさいます御心から、前後も忘れて夢見るように、袖にからんで手にすが
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)