はぢ)” の例文
人傳ひとづてに名を聞きてさへはぢらふべき初妻うひづまが事、顏赤らめもせず、落付き拂ひしことばの言ひ樣、仔細ありげなり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
蒼ざめしなやめる魂等ははぢのあらはるゝところまで氷にとざゝれ、その齒を鶴の調しらべにあはせぬ 三四—三六
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
ガラツ八は良心にはぢる樣子もなく、續け樣にお先煙草をくゆらして、貧乞搖ぎをする風もありません。
「尋ぬる夫の容形なりかたち、姿は詞に語るとも、心は筆も及びなき、ぼんじやりとしてきつとして、花橘の袖の香に」以下の一節などは、いかにもヲフヱリヤが狂ひに狂ひし歌に比べて多くはぢず。
「歌念仏」を読みて (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
通人つうじんもつ自任じにんする松風庵蘿月宗匠しようふうあんらげつそうしやうの名にはぢると思つた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)