惨心さんしん)” の例文
で、彼が縷々るるとして話しだす事々には微塵みじんの飾り気も偽りもなかった。二十年来の難行道の惨心さんしんは元よりのことである。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
みだれた幕政と権力の百鬼を相手に、いかに兄憲房が、孤軍奮闘したことかと、その惨心さんしんが察しられる。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一方——父草雲はといえば、年ようやく不惑ふわくをこえること五年、いわゆる、彼の生涯の一期劃をなす「浅草草雲時代」の惨心さんしんいたましき行道に、はいっていたのである。
田崎草雲とその子 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
独りり場もない惨心さんしんのうちに、切髪の初冬をどんなに寒く傷ましくお生活くらしであろうかと、その慰問いもんも永らく胸にだけ思っていたので、今日は——と、その宿志を果すために
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これらの点も孔明の惨心さんしんを一しお深刻ならしめているものであった。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
惨心さんしんせて
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)