悉皆そっくり)” の例文
新吉もお累が死んで仕舞ったあとは、三藏から内所で金を送る事もなし、別に見当みあてがないから宿替やどがえをしようと、欲しがる人に悉皆そっくり家を譲って、時々お賤の処へしけ込みます。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
僕の家でも今日料理研究のために十余品の御馳走をこしらえているからこれを悉皆そっくり持って行ってその献立中に加えよう。第一が菓子だ。君一つこの珍菓を賞翫しょうがんしてくれ給え、今出来たてだ。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「それにしても池の中の生物を悉皆そっくり取られるとは油断だったね」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
ナニ山口屋の音羽に頼まれて来たんだが、おめえは懐に金え持ってるそうだが、何うか悉皆そっくり貸してもれえてえ、誠に無理な無心だが、急になければならねえ金だと云って花魁も気を
何うもおかしいじゃないかあの門付、あんなに私を見ているというは訳がわからない、此方こちらの気のせいか知らんが、顔立といい年格好といい伊之助さんに悉皆そっくりなんだから、イヤ/\左様そうであるまい
又芸者をしていたいのならば出の着物から着替から帯から頭物あたまのものまで悉皆そっくりこしらえて、お金は沢山たんとは出来ねえが、三百両や四百両ぐらいはまとめてるとういう旨い口だ、私などは願っても出来やしない
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)