息急いきせき)” の例文
半病人の彼女の老父は殆んど狂人のやうになつて、その片意地に凝り固つた兩眼に憤怒の涙を湛へつゝ息急いきせきとやつて來た。
姉妹 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
三次が指図するまでもなく、誰か走った者があると見えて、瓦屋伊助が息急いきせききって駈けつけて来た。
腹の上に鐘や太鼓を抱えたまま息急いきせき切って馳け込んで来ると、いま秋森家の前を通りかかったところが、恐ろしい殺人事件が起きあがっていた事、死人の側には三人の男がついていたが
石塀幽霊 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
ん其の上にて如何樣いかやうとも御存分に遊ばされておそからずと取りなす處へ立花左仲息急いきせきと歸り來れば如何に左仲手係てがかりなりとも知れたるかと尋ぬるに左仲答へてん候ふ私し三河町へ參り見候處彼等兩人申す如く惣右衞門は全くの病氣にて又せがれの重五郎も御代官のとも
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)