あだ)” の例文
「彼の国の道俗は相州の男女よりもあだをなしき。野中に捨てられて雪に肌をまじえ、草を摘みて命を支えたりき」
恩を以てあだに報ゆると云ったような、美しい純な心の発露であるかも知れなかった。
神の如く弱し (新字新仮名) / 菊池寛(著)
世ノ中ハ恩ヲあだデ返スガ世間人ノ習イダガ、オマエハコレカラ怨ヲ恩デ返シテミロト云ッタカラ、ソノ通リニシタラ追々内モ治マッテ、ヤカマシイババア殿モ、段々オレヲヨクシテクレタシ
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)