思惑おもひまど)” の例文
げば又あふりて、その余せるを男に差せば、受けて納めて、手をりて、顔見合せて、抱緊だきしめて、惜めばいよいよ尽せぬ名残なごりを、いかにせばやと思惑おもひまどへる互の心は
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
紋羽二重もんはぶたへ小豆鹿子あづきかのこ手絡てがらしたる円髷まるわげに、鼈甲脚べつこうあし金七宝きんしつぽうの玉の後簪うしろざしななめに、高蒔絵たかまきゑ政子櫛まさこぐしかざして、よそほひちりをもおそれぬべき人のひ知らず思惑おもひまどへるを、可痛いたはしのあらしへぬ花のかんばせ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
柱に身を倚せて、ななめに内を窺ひつつ貫一はまゆひそめて思惑おもひまどへり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)