怖気おぢけ)” の例文
旧字:怖氣
「うむ……」と詩人はうめくやうな声をして、少し後退あとじさりした。まるで見知らぬ男の掌面に怖気おぢけづいたやうだつた。
らでも前日の竹藪以来、怖気おぢけきたる我なるに、昨夜さくやの怪異にきもを消し、もはや斯塾しじゆくたまらずなりぬ。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
凌雲閣には余り高いのに怖気おぢけ立つて、遂々たうたう上らず。吾妻橋に出ては、東京では川まで大きいと思つた。両国の川開きの話をお吉に聞かされたが、甚麽どんな事をするものやら遂に解らず了ひ。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
急に怖気おぢけがついて一歩も馬の足をすゝめることができなくなりました。
小熊秀雄全集-14:童話集 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)
いたいたしくも怖気おぢけづき
山羊の歌 (新字旧仮名) / 中原中也(著)