微傷びしょう)” の例文
この家老も、微傷びしょうを負った事を示すように、左の手首を白布さらしで巻いていたが、何となくそれが可笑おかしく見えて、顔つきと手頸の繃帯がうつろわない。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
右足のかかと微傷びしょうを負ったが、それは折柄おりから丁度ちょうど、英軍の高射砲が襲来独機しゅうらいどくきを射撃中であって、その高射砲弾の破片はへんが、この碩学泰斗せきがくたいとの右足に当り、呪いにみちた傷を負わしめたのであった。
こうして澄江は微傷びしょうさえ負わず、谷の底へ落ちついた。
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
しかし、いつまでたっても、弦之丞に微傷びしょうを負わせることもできない。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)