御隠殿ごいんでん)” の例文
旧字:御隱殿
私はこの老女ひと生母ははおやをたった一度見た覚えがある。谷中やなか御隠殿ごいんでんなつめの木のある家で、蓮池はすいけのある庭にむかったへやで、お比丘尼びくにだった。
心付けと、十手と、詫言わびごとと、脅かしと、硬軟いろいろに使いわけて、亥刻よつ半(十一時)頃、廻って来たのは、御隠殿ごいんでん裏でした。
筋違すじかい」「講武所こうぶしょ」。現万世橋が「眼鏡橋」。「御隠殿ごいんでん」「喰違くいちがい」「鉄砲洲」「お玉ヶ池」「新堀端」「大根河岸」「竹河岸」「白魚河岸」「へっつい河岸」。
昔の言葉と悪口 (新字新仮名) / 三遊亭金馬(著)
がアーッと二、三羽のからす——御行おぎょうの松のこずえを打って、薄陽の残る御隠殿ごいんでんの森の暮色へと吸いこまれてゆく。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
エエよろしゅうございますとも、なにしろ、御行おぎょうの松から御隠殿ごいんでん——あの水鶏橋くいなばしの辺は、昼でも薄気味のわるい所でございますからな……。夜のお使いは、あんまりゾッとしませんや。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「根岸の御隠殿ごいんでん裏の市太郎殺しの後日物語があるんで——」
鶯谷の御隠殿ごいんでんちかくへ来た。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)