御座おざ)” の例文
少し亂暴なのには閉口する事も多かつたが、萬事てきぱきと切つて廻し、御世辭や御座おざなりが無く、傍若無人な醉體も、三田の面白がるところだつた。
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
探偵小説は、プロレタリア文学と同じように、日本に生まれてからまだ新しいために、仲間の間で、これまで余りに御座おざなりなめあいが多すぎたように思う。
「陰獣」その他 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
御座おざなりを言うということになる。余りブッキラボーでない、あたさわりが宜いというので御座います。あざやかで穏かでまことに宜い。それは悪い事とは思いません。
模倣と独立 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
御座おざめる事の多い者であって、それを忌憚きたんなく女自身が書いたら風俗を乱すなどと想う人もありましょうが、女とても人ですもの、男と格別変って劣った点のある者でなく
産屋物語 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
御座おざに入りては、恐れ多うござる。敷居の間近まぢかまで、お身をお移しくださいまし」
それを御座おざが白けたとでも、思ったのでございましょう。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)